中澤 明子〈東京大学 助教授〉 重田 勝介 〈北海道大学 情報基盤センター 准教授〉

ICT × アクティブラーニング

開校当初から、本校の授業づくりを熱心にサポートくださっている二人の先生にお話を聞きました。

中澤 明子〈東京大学 助教授〉 重田 勝介 〈北海道大学 情報基盤センター 准教授〉

現在の社会を生きるために求められている能力は?
その力を身につけるために学校が行うべきことは?

中澤「人生100年時代」と言われています。この時代に長く活躍していくためには、「学び続ける力」が欠かせません。学習意欲に関する研究では、興味関心や楽しさを感じながら積極的に授業に参加する体験を繰り返すと、学習習慣や学習へのポジティブな態度がつくられ、長期的な学習などに良い影響があると言われています。このような点を踏まえて、授業や体験を行えるように、学習環境を整え、授業づくりを行うことが必要なのではないかと思います。

また、現在は国際化と情報化が当たり前の時代になっています。国際化の社会では、自分とは異なる価値観を持つ多様な人たちと共に学んだり、仕事をすることになります。学校でも、生徒どうしで協力しながら物事に取り組んだり、多様な価値観や考えに触れたりする経験を重ねられるとよいですね。また、情報化の社会では、パソコンなどの操作や、インターネットを通じたコミュニケーションが必要となります。これらも学校で、学習や体験する機会を提供することは大切なのでないでしょうか。

重田これからの社会において教育の果たす役割はますます大きくなります。学校や大学で学んだことのみでキャリアを築くのではなく、社会人になってからも自らの専門性を高めるよう学び続ける知恵や習慣を身に付けることが重要です。また、デジタル・リテラシー(デジタル社会で必須となる知識や技術の総合体系)と呼ばれるような、デジタル社会で活躍するための知識やスキルを身につけることも不可欠です。普段の教科学習で身につく学力と、学びに向かう力やデジタル・リテラシーが両輪となり、生徒を未来へと駆動していく取り組みが、学校として求められると考えています。

実践したいと考えている取り組みのビジョンは?

中澤私の関心は興味関心や楽しさを生徒が感じて、積極的に参加できる授業づくりです。西武台新座中学校でも、このような点を軸にしてアクティブラーニングの導入や授業づくり、ICT活用をサポートしています。アクティブラーニングは目的ではなく手段です。生徒の「学び続ける力」を育てるために、興味関心や楽しさを感じながら積極的に参加できる授業を目指し、その手段としてアクティブラーニングを行うことが重要なのではないかと考えています。

重田二つの大きな方針があり、西武台新座中学校の教育をICTの導入で効果的に支援することと、ICTを活用することではじめて達成できる教育を実現することです。前者について、教師が普段実施されている授業の中に効果的にICTツールを導入することで、生徒の知識理解や概念形成をより促すような方法を提案しています。後者について、生徒が課題を設定して探究的に学習するような問題基盤型学習(Problem Based Learning)を、ICTを効果的に用いたアクティブラーニングで実現する手法を提案しています。

授業風景

開校からの10年間で実際に行ったことは?

中澤ハード面としては、SACLAやICT(主に生徒のiPad)の運用管理のサポートを行ってきました。開校当時は複数のiPadをまとめて管理するソフトウェアがなく、先生や生徒が、SACLAやICTをスムーズに、快適に使えるように心がけて手探りで進めていたことを覚えています。
また、ソフト面では、効果的なICT活用に関する情報提供やカリキュラム開発を行いました。たとえば、SACLAには4面のプロジェクタとスクリーンや可動式のホワイトボードがあります。クラス全体に説明する時はひとつのプロジェクタ、グループごとに発表練習する時は4面のプロジェクタを使うなどの工夫をしました。また、総合的な学習の時間のカリキュラムを先生方と一緒に開発しました。とくに、「チャレンジ学習」を総合的な学習の時間の柱に据えて、授業内容を検討しました。西武台新座中学校ならではのカリキュラムのひとつになったのではないかと思います。

最近では、授業づくりに関する情報提供や取り組みを行っています。たとえば、アクティブラーニング手法やその効果に関する冊子を作成して先生方に配布するなどです。また授業を見学してコメントをすることもしています。
振り返ってみると、開校当初から直接的には先生方のサポートを行ってきたことで、生徒の皆さんの学習を間接的にサポートしてきたのかなと思います。

重田SACLAの設置にあたっては、教室の設計や可動式のテーブルや椅子、ICTツールの選定を行いました。その後中学1年生から3年生にかけてSACLAをフル活用した、学校や地域を題材とした問題を自ら設定し取り組む「チャレンジ学習」のカリキュラムを開発し、総合的な学習の時間に導入しました。加えて、教師向けのICT活用教育やアクティブラーニング研修、生徒が使用するiPadのメンテナンスやソフトウェアのアップデートを継続しています。

今後、取り組んでいきたいと考えていることは?

中澤すでに述べたように、学び続ける力や国際化・情報化社会で活躍できる力を育てるための学校の取り組みに寄与できるように関わっていきたいと思っています。とくに、興味関心や楽しさを感じながら積極的に参加できる授業のための取り組みを行いたいですね。それはこれまで行ってきた授業づくりのサポートを継続することだと思いますし、その効果をしっかりと確かめていきたいです。そうすることで、生徒のみなさんの効果的な学習を実現し、「学び続ける力」や国際化・情報化に対応した力を育てることにつなげていきたいですね。

重田生徒が未来のキャリアを見据えるために必要な学習機会を作りたいと考えています。地域の住民や企業と連携したチャレンジ学習が有効だと思われます。また、生徒のデジタル・リテラシーを高める学習プログラムも開発できればと考えています。

授業風景

eポートフォリオ・eラーニング

授業・学習支援プラットフォーム「Classi」を導入しました。ipadを利用して、WEBテストの配信や学習動画の閲覧を可能とし生徒の自学自習を支援します。また、「Classi」のポートフォリオ機能を活用することで、今後の大学入試で必要となる学習記録データの蓄積を行っています。

Class i

1人1台のiPadを用いることで、論理的かつ直感的な学習が可能

本校ではiPadを生徒に1台ずつ用意し、各教科の学習に活用しています。ICT(情報通信技術)を利用した授業では、インターネットを通じた情報収集や、アプリケーションを使ったプレゼンテーション資料の作成はもちろん、きれいな植物の画像から細部をスケッチしたり、運動時に動画を撮ってフォームの確認を行ったりと、視覚的かつ直感的で思考力を育む学習指導を可能にしています。また、校内は無線LANを完備しているほか、スタジオ型教室「SACLA(西武台アクティブラーニング・ラボ)」を設置し、グループ学習やディスカッションなど、多彩な授業形態に対応できる万全の環境を整えています。

開校当初から取り組んできた「アクティブ・ラーニング」を生徒たちがポジティブに楽しんで受講

開校当初より、北海道大学・重田先生や東京大学・中澤先生を中心とする専門研究チームと共同し、力を入れてきた「アクティブ・ラーニング」。他校に先駆け「聞く」「読む」「書く」「話す」を、主体的かつ能動的な学習を展開する取り組みは、さらなる深化を続けています。お互いの意見を交換したり、iPadを使って調べた情報を動画などに編集したり、他の生徒のプレゼンテーションから新たな視点を発見する。生徒たちは、自ら課題を見つけ、解決する過程を大切にしたアクティブ・ラーニング型の授業をポジティブに楽しみながら受講しています。また、学力教育の授業でもアクティブ・ラーニングの手法を取り入れる教員も増えてきています。将来的には大学の授業に当校の生徒が参加したり、大学生のプレゼンテーションを当校で行うなど、中大接続の試みについての議論も大学側と始まっています。

授業風景
MENUCLOSE