INTERVIEW

サッカー部指導者からの
メッセージ

部活を通して、リーダーシップを発揮できる力を身に付けてほしい。

守屋:少年団のサッカーチームをはじめとした地域の指導者から、西武台高校のジュニアユースを作って欲しいという声が届いた時期がありました。全国高校サッカー選手権大会やインターハイに何度も出場し、知名度が高かったということもありますが、それ以上に教員でありながらも日本サッカー協会のライセンスを持つ指導者に子どもたちを託したかったようです。それを聞いたとき、私は中学校教育の中にサッカーを取り入れて、人間形成も含めた成長につなげたいという想いが芽生えました。しかし、そのときは時期尚早というか、スタッフも十分ではなく、すぐに取り組むことはできませんでした。いまは山崎先生や黒岩先生を筆頭に指導陣が充実してきたおかげで、安心して中学サッカー部を始動させることができました。山崎先生のカラーで作り上げた中学サッカー部の選手を黒岩先生が高校のサッカー部で、どう伸ばしていくかを見てみたいですね。

山崎:中学生の指導をするのは初めてですが、高校に上がる前に、こんな選手になっていて欲しいという理想はあります。ですから、正しいこと、間違っていることは、しっかり言葉で伝えることにしています。しかし、思春期ということもあり難しい部分も多いですね。2年生に近づくに連れ、私の言葉が響きづらくなっているとも感じます。そこで自分の中学時代を振り返ってみたのですが、答えは「同じようなことをやっていた」でした。自我が芽生え、素直になれない時期でもあります。そういった部分も受け入れながら指導しなければと思っています。

守屋:中学の部員が私のところに来て挨拶するようになったり、「片づけ手伝います!」なんて、積極的な言葉を発してくれるようになっています。これは山崎先生の努力の成果です。黒岩先生、中学サッカー部ができたことで、高校生の意識が変わったようなところはありますか?

黒岩:中学生のことを気にはしていますが、お手本となろうという意識は少し弱いかもしれません。6年間のつながりを大切にするという部分で中学サッカー部が始動したわけですから、これではいけませんね。山崎先生からもらったバトンをしっかり受け取とるためにも、一緒にやるという気持ちを持っていきたいと思います。

山崎:中学生は高校生の行動を、とても気にして見ています。僕から見ると高校生はスタッフへの挨拶もきっちりできているし、ダラダラ動いている選手なんていない。集合だってパッと集まれる。意識してないというけれど、既に良いお手本となっています。それはサッカーの部分でも同じことが言えます。常にサッカーのお手本が身近にいますし、今後は積極的に高校生の練習に中学生が練習参加するなど、繋がりをさらに強めてさまざまな刺激をもらって成長してもらいたいです。

守屋:全国高校サッカー選手権大会に出場した黒岩先生や山崎先生をテレビで観戦して、子どもたちはみんな憧れを持った。保護者のみなさんも同様で、西武台高校のサッカー部に自分の子どもを預けたいという人も増えました。サッカーに真摯に取り組んで、リーダーシップを発揮している選手がいれば、意識してなくても自然とお手本となるものです。学校の教室内や学校行事で中学サッカー部の部員は、リーダーシップを発揮していますか?

山崎:得意な分野は積極的に動いていますね。たとえばスポーツが関係した行事とか。しかし、文化祭、3年生を送る会とか、その他の行事に関してはもっと頑張ってもらいたいなという場面も見られます。

守屋:「できることを伸ばす」「できないこともチャレンジさせる」。山崎先生はどっちの方法で指導していきたいと思いますか?

山崎:線引きはあると思います。50m走で8秒台の子に7秒を切れというのは無理な話ですから。しかし、苦手なことでも自分からチャレンジして最終的にはできるようになってほしいという気持ちで指導しています。そのために少し厳しく指導してしまうこともあります。

守屋:2人とも西武台高校サッカー部の出身だから、私と似たよう指導をしてしまうのかもしれませんね。私も2人には厳しくしたからね。(笑)

黒岩:昔はサッカー部がクラスの中心にいることが多かったですね。出しゃばりぎみでも、リーダーシップを発揮していました。しかし、いまはそうでもありません。僕は様々なチャレンジをして、経験を積む中で主体性を身に付けてほしいと思っています。でも、そのためには指導しすぎてもNGですから難しいですね。

守屋:「中心なきチームは勝利なし」。勝負の世界でよく使う言葉です。やはりチームにリーダーは必要だと思います。2人ともキャプテン・副キャプテンを担ってきたのだからリーダーに何が必要かを経験の中から教えることができると思います。「俺が先頭に立つから、失敗したら助けてくれ」ってリーダーが言えば、みんなサポートしてくれると思うんですよ。そうやってチームワークが強固になれば、全員がリーダーシップを発揮してくれるようになると思います。ゲームで点を取る選手が必要なら、ベンチを物凄く熱くする選手だって必要です。率先してウォーミングアップを盛り上げる部員だっていなくちゃ困ります。いろいろなところでリーダーシップを発揮する選手がいるチームは強くなれると思います。

やらせてもらっているサッカーを自分でやるサッカーに変える6年間。

守屋:いまの中学1年生(現2年生)の中で、何人くらいに高校のユニフォームを着させてあげたいと思っていますか?

山崎:2人は!と思っています。いまの部員たちはいい素質を持っていると感じています。中学3年間練習を積んで、高校と合わせて6年間食らい付いてくれれば、最後にレギュラーの座を獲得してくれる可能性はあると思います。

守屋:正直、年々高校1年でサッカー部に入ってくる選手のレベルは上がってきている。2年後、3年後、この選手たちで全国高校サッカー選手権大会やインターハイを戦えなかったら、指導者の責任とも思えるくらいです。今年の中学サッカー部の目標はどれくらいに置きますか?埼玉県大会優勝?ベスト8?

山崎:中学サッカー大会で、埼玉で1位にはなりたいですね。そして、高校サッカー部に上がって、スタメンを勝ち取れる選手に育成したいと思っています。ただ、こちらの方が埼玉1位より遥かにハードルが高いですね。クラブチームの選手にも負けない選手を育成しなければいけませんので。

守屋:中高一貫生で高校サッカー部に入部してきている選手がいま2人いますね。2人ともサッカーに取り組む姿勢は素晴らしいものを持っています。ひとりは特進選抜コースに進んだA君。7時間授業の日はどうしても部活のスタートに遅れてしまうようですが、言葉も早く、いい意見を言ってくれる。練習はリーダー的存在で、みんなを引っ張ってくれます。カリキュラムの問題で、いない時間が出てしまうのは仕方ないこと、遠慮しないで欲しいと思います。

黒岩:素晴らしいパーソナリティを持っていると私も感じています。練習に途中参加となるのは仕方ないので、堂々と練習に加わってくれればいいと思います。もうひとりは選抜Ⅰコースに進んだB君。ほかの部員と同じ環境でサッカーに取り組んでいます。

守屋:彼もサッカーが好きなことが伝わってきます。いつも明るくて、幸せそうにサッカーに取り組んでいて、いい選手だね。

山崎:そのまま特進コースに進んで勉強とサッカーを両立させるのか、選抜コースに進んで他の部員と同じ環境でサッカーを頑張るのか。中学3年間で話をしながら相談に乗っていきたいと思います。

守屋:いろいろな選択肢はあると思いますが、決めるのは本人。山崎先生にはじっくり話を聞いて、助言をしてほしいと思います。親にスパイク買ってもらい、やらせてもらっているサッカーは、あるときから自分でやるサッカーに変わっていきます。サッカー部で過ごす6年間はその途中ともいえます。そして自分でやるサッカーになれば、次の世代に何かをしてあげるサッカーに変わります。そんなサイクルを回していけたら素敵ですね。いまは私たち指導陣で、しっかり教えてあげたいと思っています。

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