
第43回卒業証書授与式
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3月1日(日) 『第43回卒業証書授与式』を開催しました。
式辞
みなさん、卒業おめでとうございます。思い起こしますと、みなさんが入学された令和五年、三月に野球のワールドベースボールクラシックで日本がアメリカに勝ち、三度目の世界一になりました。入学式前のうれしいニュースでした。そして、五月八日には新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が、「5類」に引き下げられました。これ以降、学校生活の制限はほぼなくなりました。みなさんの中学時代は多くの制約がある「新しい生活様式」で、戸惑いと不安を感じた生活を送ったことでしょう。それが西武台高校に入学とほぼ同時に、制限のない生活が始まりました。しかし、西武台の先輩たち、先生たちも新型コロナ感染症の対応が長かったために、コロナ前の西武台生活にはすぐには戻れませんでした。そこで、皆さんが先頭となり、コロナ後の新しい西武台生活を構築してきました。このように新しい環境を仲間と共に創り出したみなさんが、晴れて卒業の日を迎え、新たな一歩を踏み出すことを本当にうれしく思います。
皆さんの歩んできた中学時代は、GIGAスクール構想「Global and Innovation Gateway for All(全ての児童・生徒のための世界につながる革新的な扉)」の始まりと一致しています。新型コロナ感染症のために、その構想は大幅に前倒しされ、生徒一人に一台のコンピューターと高速ネットワークが整備されました。そして、高校では、ICT機器があることが当たり前となりました。これにより、教育に大きな変革がもたらされ、今までとは大きく異なる教育環境のもとで皆さんは学習をしてきました。一方では現在の状態を心配する意見もあります。
みなさんの卒業を祝う場だからこそ、これからのICT機器をどう捉えたらいいのか、大学、更に先の社会生活をどのように過ごすべきかを考えてみたいと思います。
ICT機器の利用で最初に浮かぶのは、SNSの利用です。そのSNSの情報をどのように扱うかで、皆さんが社会に出てからの生活に大きな影響を及ぼします。それを考える上で「フィルターバブル」と「エコーチェンバー現象」が、重要な単語になります。
皆さんが高校に入学した令和五年には、総務省から新時代に求められる強靱・健全なデータ流通社会の実現に向けて「情報通信に関する現状報告の概要」が発表されました。その中に、インターネット上での偽・誤情報の拡散等について、この二つの単語のことが述べられています。
まずは、「フィルターバブル」についてです。人は「自らの見たいもの、信じたいものを信じる」という心理的特性、「確証バイアス」を持っています。インターネットを利用すると、プラットフォーム事業者は、利用者個人の閲覧履歴など、収集したデータを分析します。そして、利用者が関心を持ちそうな情報を優先的に配信していきます。それによって、利用者は、自身の興味のある情報だけにしか触れなくなります。これを情報の膜につつまれたかのような状態「フィルターバブル」と言います。この状態では、自身と似た考え・意見が多く集まり、反対の考え・意見は排除されます。その結果、自分と異なる意見に触れることが減る、或いはなくなります
次に「エコーチェンバー現象」についてです。SNS等で、自分と似た興味関心を持つユーザーが集まる場でコミュニケーションすると、自分が発信した意見に似た意見が返ってきます。それを繰り返すと、特定の意見や思想が増幅していきます。これを「エコーチェンバー現象」といいます。何度も同じような意見を聞くことで、自分の意見が正しく、多数派だと勘違いします。つまり自分の意見が間違いのないと、強く信じ込んでしまう傾向になります。
「フィルターバブル」や「エコーチェンバー現象」により、異なる意見が排除され、極端な考えへ偏り、フェイクニュースを信じ込み易くなります。更に、他者を受け入れられず、話し合うことを拒否する傾向がでてきます。その結果、社会の分断に繋がる危険性があります。
ここまで考えてきて、勘違いしてほしくないのですが、SNS、ひいてはICT機器は使わない方が良いと言いたいのではありません。これからみなさんは進学して、あるいは実社会に出て、新しい人びとと関わりあうことになります。その時、SNSのマイナス面も理解し、その使い方をしっかりと考えて欲しいということを伝えたいのです。
今までは、西武台高校という、共通の環境で安心して学んできました。しかし、これから先は今までの生活とは異なり、様々な価値観を持ち、多くの課題がある社会での生活になります。社会には多様な価値観があるので、自分と考えの異なる人びとと鋭く対立することもあるでしょう。それを共通の価値観を持つ空間、スマホだけで乗り切るのではなく、多くの人と対話して、乗り切って欲しいと考えています。
みなさんがこれまで、コロナ禍の苦境に負けず、またアフターコロナの新しい生活に積み重ねてこられた研鑽と多大な努力にあらためて敬意を表するとともに、それを誇りに思います。今日からみなさんは西武台高校のアラムナイ(同窓生)となります。西武台で培った学力をはじめとした多くの力、友人や教職員との関係を礎にして、新しいことに挑み、地球と人類社会の未来に貢献していくことを期待しています。
みなさんの未来が幸せなものでありますように。
卒業、おめでとうございます。
令和八年三月一日
西武台高等学校長 佐賀 博
その後、食堂で初めての試み『卒業を祝う会』を実施しました。
卒業おめでとうございます。


























